業界・国を越えてみんなが競合になる時代

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三菱東京UFJ銀行の競合を挙げろと言われたら、みんな真っ先にみずほや三井住友を挙げるだろう。
これは銀行の話だが、他の業種についても、まず業界があってその中に競合が存在する、というのは極めて当たり前の話である。電力業界の中で、東京電力の競合は関西電力…といった具合だ。

しかしこんな当たり前の話が、最近徐々に崩れ始めている。もはや業界や国を越えてみんなが戦う時代なのだ。

IT企業らの異業種参入

最近このようなニュースがあったのだが、これを聞いてあなたはどう感じるだろうか?

楽天、Uber競合の米配車サービスLyftに3億ドル出資

IT業界の人:「よくあるニュースだよね!遂に楽天もか!」
タクシー業界の人:「IT系がどんどん本気になってるね。やばいかも…」
その他大勢:「へーそうなんだ〜楽天てショッピングサイトじゃなかったっけ?まぁ自分には関係ない話だな。」

大体こんな感じに分かれると思う。

3番目のその他大勢の人、本当に自分には関係ない話なのだろうか?今回はたまたまタクシー(かつマイノリティ出資)だったが、あなたがいる業界に楽天のような会社が参入してくるのは時間の問題である。例えそれがどんな業界であろうと。

Google, Amazon, Apple, Facebook, アリババ, などの世界のスーパープレイヤーはもちろん、ソフトバンク、楽天、LINEあたりの日本企業も、みんな最終的には同じ所を狙っている。それぞれ全く違う国や事業から始まったのにも関わらずだ。EC、決済、金融、通信、コンテンツ、などなど、世に存在するありとあらゆることをITの力で統合して独自の経済圏を作ろうとみんな企んでいる。

上記の話は「今は」あなたのいる会社や業界には関係ないかもしれない。しかし近い将来、確実に無視できない話になるであろう。「国」や「業界」という垣根はだんだん意味のないものになってきている。

可処分時間の取り合い

これまで企業は人々のお財布の取り合いに力を注いできた。他社よりも安く商品やサービスを提供したり、もしくは高くても魅力あるブランドを提供することで、人々の可処分所得を取り合ってきた。

しかし最近では、人々はお金をかけずに色んなことができるようになった。スマホアプリなどの台頭により、娯楽やサービスが世の中に溢れてしまったのだ。その結果人々は時間が足りなくなり、企業による可処分所得の取り合いはいつの間にか可処分時間の取り合いに変わっていった。人々の収入は増やせても時間はみんな1日24時間で平等だからだ。

例えばある人のある1日の自由時間1時間を考えてみよう。その人はその時間を、Facebookで友達をチェックしたり、スマホでゲームをしたり、楽天でショッピングをしたりと、色んなことに使える。この3つは全く異なるコトだが、その1時間を巡って争っている立派な競合でもあるのだ。

逆に会計ソフトのfreeeのように人々が無駄なことに費やす時間を減らし可処分時間を増やしてくれるようなサービスもどんどん現れた。

これから更に娯楽やサービスが増えていくと、どちらのゲームが面白いとか、どちらのECサイトが品揃えが多いとか、そういう次元の競争では無くなってくる。その人の貴重な24時間にとって何が本当に価値があるのかという観点で、国や業種を越えて企業たちは争うことになるだろう。

みんなが味方になる時代でもある

例えば昨日こんなニュースがあった。

任天堂とDeNAが資本・業務提携、スマホゲーム共同開発

両者とも日本においてはトップクラスに素晴らしい企業に違いないが、そんな彼らでも力を合わせないと容易に淘汰されてしまう時代になってしまった。このような動きはこれからどんどん活発になるであろう。みんなが敵になる一方で、生き残りをかけて他を味方につける必要も生じてくる。

楽天やLINEなどの経済圏は国内では無敵だが、それらレベルの企業でさえグローバルの競争にさらされたら安泰とは言えない。Googleの元CEOであるエリック・シュミッドはApple, Google, Facebook, Amazonの4社をIT四天王と称したが、長期的に見て確実に独立を保てるのはこの4社くらいであろう。この4社は世界規模で人々の生活に浸透しすぎていて世に不可欠な存在となった。

しかし他の多くの企業らは、近い将来味方づくりを余儀なくされるかもしれない。

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