ツイッター創業物語 金と権力、友情、そして裏切り

Twitterの誕生ストーリーを描いたHatching Twitterという本があります。

日本語版は明日発売ですが、日経が先行して無料ダウンロードキャンペーンをやっていたので早速iPhoneに落として読んでみました。邦題は「ツイッター創業物語 金と権力、友情、そして裏切り」。

iPhoneで読むのは画面が小さくて若干つらかったけど、話が面白すぎて一気に読了しました。Facebookの誕生を描いた映画ソーシャル・ネットワーク以上にぐちゃぐちゃな人間ドラマで、映画化して欲しいレベル。インタビューやリサーチを入念にしてるので、限りなく真実に近いと思います。

この本の主役はエヴァン・ウィリアムズ、ジャック・ドーシー、ビズ・ストーン、ノア・グラス、という4人のツイッター創業者です。(最初の3人はもはやIT界では誰もが知る存在ですが、最後のノアだけ歴史から消されています。)しかしこのストーリーは結局はエヴァンとジャックという全く異なる人物2人の権力闘争に尽きるでしょう。

ツイッターは現CEOであるディック・コストロの前に、初代CEOをジャック、2代目をエヴァンが務めたという経緯があります。日本の総理大臣のように短い間に何回もリーダーが変わってるんですね。そういう組織には大抵問題があるのですが、ツイッターも例外ではなく、システム、人間関係、財務など全てぐちゃぐちゃでした。

エヴァン・ウィリアムズは、「ブログ」という概念を世の中に生み出した張本人であり、生粋の起業家。(彼がいなければ私も今頃ブログをやっていません。)ブログサービスであるBloggerを育てあげ、グーグルに売却した経験から、ツイッターの経営も堅実にこなします。最終的にジャックの計らいによって彼はCEOの座を降りることになりますが、今のツイッターがあるのはぶっちゃけ彼の経営による所が大きい。

ジャック・ドーシーは、第二のスティーブジョブズといわれ、世間では神格化されていますが、実際は全然違うことがこの本から分かります。20代後半まで大した職歴もなく借金まみれだったジャックは、Bloggerの父であるエヴァンに憧れ彼の元で働くようになります。その後ジャックを中心にツイッターの初期版を開発し、初代CEOとなります。しかし誰もが口をそろえて「ジャックは経営能力がない」というくらい彼は経営ができなかった。

そこでエヴァンはジャックの地位を奪ってCEOになり、ツイッターを立て直すのです。ツイッターを追放されたジャックは、「ツイッターの父」という名目で数々のメディアに出演し、世間における自分のブランドを築きあげていきます。彼を中心にツイッターが開発されたのは事実であるものの、「ツイッターの発明者」というのは言い過ぎである、というのがツイッター内部者の総意だったのですが。そして彼がツイッター追放後に始めた別事業Squareの成功もあり、彼は第二のジョブズといわれ、今ではディズニーの取締役まで務めるようになりました。

この本は金と権力が渦巻くぐちゃぐちゃな人間ドラマですが、私個人的には若者に夢と希望を与える本だと思っています。プリンストンを最優秀で卒業して昔から超優秀だったアマゾンCEOのジェフ・ベゾズや、ハーバード中退のビル・ゲイツやマーク・ザッカーバーグとは対照的で、ジャックは本当にその辺にいるタダの若者だったのです。そんな彼が第二のジョブズと呼ばれるようにまでなる、このストーリーは痛快です。(その過程で彼は友人を裏切り、色んなものを失ったけれど…)

起業家のストーリーに興味ある方はもちろん、単純にノンフィクション系が好きという方にもオススメです。

ツイッター創業物語 金と権力、友情、そして裏切り
ニック・ビルトン
日本経済新聞出版社
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