「外資系金融の終わり」/藤沢数希

投資銀行を中心に金融業界の実情を分かりやすく描いているので、金融関係者はもちろん、業界の最新動向を一気に知りたい初心者にオススメの本。

特に1番読むべき人は、金融業界を志望する就活生。これは金融業界就活のバイブルになってもおかしくない本。

当時はまだ時代が良かったこともあり、金融の知識ほぼゼロの僕でも運良く雇ってもらえたが、今はこの本の内容くらいは最低抑えておきたい。僕の時代にもこんな本あればよかったなと思う。サルになれなかった僕たち―なぜ外資系金融機関は高給取りなのかに代わる就活バイブルである。

僕がこの本を読んでいて一番考えたのは、やはりタイトルの「外資系金融の終わり」について。大きすぎて潰せない金融機関を規制しようという流れや、ネットなどの発達による大企業から個人への流れの加速によって、一見終わりは近づいているように見える。

その流れについては僕は賛成だが、本当に終わりが来るかと言えば、答えはノーだと思う。

僕のとある友達はイギリスのトップスクールから帰ってきて最近外銀に就職した。別の友達は外銀をクビになった後、1年近く金融に固執して就活して最近また金融に戻った。こんだけ沈むと言われている金融は、何故未だにこんなに人気なんだろうとつくづく思う。

フィデリティでアナリストをしている僕の友達は、「今金融に行く人はセンスが無い」と言う。それは同感だ。金融業界最大の魅力である金銭的報酬が下がっているからだ。一方でその下がっている報酬は他業種のそれと比べてもまだまだ高い。結局これに尽きるのではないかと思う。

上記の再就職した友達は、まだ社会人経験3年くらいだが「年収1200万しかもらえないよ」と嘆いていた。こんなの他の業種じゃあり得ない。いくら規制がかかると言ってもゴールドマンが公務員レベルの給料になるのは想像し難いし、この給与レベルが続くのであればこれからも金融は人気業種であり続けるでしょう。

外資系金融は、東大などのトップスクールの中でも特に優秀な人たちだけが門を叩くことを許される、超エリート業界である。そんなただでさえ門戸が狭い外資金融は、一連の金融危機などにより更に門戸が狭くなってる。

ただそれは同時に「本物」しか参加出来ないことを意味する。つまり業界全体としては沈んでいくんだけど、そこにいる人の平均レベルは今まで以上に上がっていくことになる。「本物」が高級取りになるのは、その人が新卒だろうと中途だろうと問題無いのではないかと思う。以前ほどの華やかさは無いものの、少数の超優秀な人達で粛々とやっていくのだろう。

金銭面以外にも金融業界に就職するメリットはたくさんある。僕も正直最初は金銭面に惹かれ入ったが、仕事自体もとても面白いものだった。世の中が株式会社を中心に回っている以上、株式市場の経験は役に立つし事業会社でも潰しが効くスキルを得る事が出来る。高給をもらいつつビジネススクールに行っているようなものだ。今僕が仮に大学生だったとしても、まだ外資金融を志望していたと思う。

「外資系金融の終わり」というタイトルからするとちょっと皮肉だけど、僕は金融業界を志望する就活生にこそこの本を読むことを強くオススメしたい。

外資系金融の終わり―年収5000万円トレーダーの悩ましき日々
藤沢 数希
ダイヤモンド社
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