高い目標を設定してそれに満たないより、低い目標を設定してそれを上回るほうがいいのか

medium_15514676455photo credit: StephanPeccini via photopin cc

とあるビジネスマンが部下に対してこんな事を言ったエピソードがあります。

「高い目標を設定してそれを達成できないくらいなら、低い目標を設定してそれを上回るほうがいい。前者は約束が守れない人になってしまうが、後者はデキる人という印象を与える。」

これは本当にそうなのでしょうか?賛否両論あると思いますが、このエピソードの続きを見てみましょう。

その上司は部下を率いて新規事業の計画を立てていたところでした。目標はそれを社長にプレゼンして予算をもらうこと。事業計画というものを作ったことがない部下達は試行錯誤しながらも教科書的に計画を立てます。もちろん「~をすると~億の収益が見込めます。」という具体的な数字も入れて。

そこで上司が言ったのです。「事業がまだ始まってないし将来のことは誰にも分からないのに、~億の収益が見込めます。と言っていいのか。自分が立てた数字が高すぎて実現できなかったら責任とれるのか。エクセキューションする際に自分がコミットできる数字を立てないと。これで君らがエクセキューション素人なのが分かったよ。コミットできない目標は立てちゃいけないんだよ。」

部下は納得しました。「ほうほう、それでは自分がコミットできる数字を立てよう。収益なんて皆目検討もつかないから、せめて数ヶ月後に顧客~名獲得してるかの見込みを立てよう。」

しばらくしてその上司が突然「やっぱり5年分の収益予測が必要だ。」と言い出しました。「いや貴方この前将来のことは分からないとか何とか言ってたやん!ブレブレですけど大丈夫ですか?」と部下は心の中で思う。

そんな感じで部下は「このプロジェクト大丈夫か?」と思いながらも計画の策定に努めます。上司の口癖は案の定「我々の事業計画策定は上手く進んでるよ。予算承認は問題ないだろう。」でした。

そしていざ社長への提案の日が訪れる。上司の自信とは裏腹に、その計画は通りませんでした。部下からすると「あれれ、何も問題ないはずじゃなかったのか?散々偉そうなこと言ってきたのに…」一気に部下の上司に対する信頼が消え去りました。

その時、上司のこの言葉を思い出したのです。「高い目標を設定してそれが達成できないくらいなら、低い目標を設定してそれを上回るほうがよい。」

「なるほど、我々は貴方への信頼を完全に失ってますが、約束をしてそれを守れないというのはそういうことだったのか!」部下は、皮肉にも上司から反面教師的に大事なことを学んだのです。

以上より、次のことが分かります。

やるって言って達成できなかった時、周りの信頼は一気に無くなります。また、上に立つ人ほど、このことに気をつけなければいけません。基本的に下は上を頼りにしてますから、できなかった時の失望はデカい。一方下はできなくても比較的許されやすいでしょう。

もちろん、120という目標を掲げておけば上手くいかなくても100達成できるので目標は高いに超したことは無い、という意見にも一理あります。しかし、人に対して約束する、という場合においては特に、約束を守れない、ってのが一番まずいですから、低い目標を立ててそれを上回るくらいが丁度いいのかもしれません。本来は、公衆の面前で堂々と高い目標を約束して、かつそれを上回ってくる孫正義さんみたいなのがベストですが、それは例外的です。

高い目標を持つ場合には自分の心のうちにのみ留めておくのがいい場合が多いかもしれません。それを言って敢えて自分を追い込むというパターンもありますが、それが上手くいくのは限られた人でしょう。

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